本日ご紹介するお酒は
KILKERRAN (キルケラン)12年
です。
キルケラン12年は、スコットランドの西側に位置するキンタイア半島の先端、キャンベルタウンという町にある「Mitchell’s Glengyle(ミッチェルズ・グレンガイル)蒸留所」で造られているシングルモルト・ウイスキーです。
キャンベルタウンはスコッチシングルモルトで知られる4大地方(ハイランド、アイラ、ローランド、キャンベルタウン)の一つ。
このグレンガイル蒸留所は今日までに数奇な歴史を辿って来ました。
1872年、Spring Bank(スプリングバンク)蒸留所の創始者の御子息【ウィリアム・ミッチェル】氏により設立。
ブレンデッドウイスキーやシングルモルトなどを作り順調な一途を辿っていた最中、20世紀初頭に世界大恐慌などの影響により1920年には20もの蒸留所数を誇ったキャンベルタウンは、10年の間に3つしか残らかったそうです。
グレンガイル蒸留所も1919年に”West Highland Malt Distilleries Ltd”に買収され、1925年に蒸留を停止、閉鎖を余儀なくされました。
1941年にBroch Bros(ブロッホ・ブラザーズ)により蒸留所とブランド名が取得されましたが、様々な要因により蒸留所に再び火が灯ることはなかったそうです。
(蒸留されたモルト原酒が施設内に残されていたのではないか?という噂もあったそうですが、真偽のほどは定かではありません。)
2000年、同じキャンベルタウンに人気蒸留所スプリングバンクを所有するJ&A Mitchell,Springbank社によりグレンガイル蒸留所が買収されました。
J&A Mitchell&Co Ltdの現会長はHedley Wright(ヘドリー・ライト)氏であり、創始者ウィリアム・ミッチェル氏の血縁にあたる方。
2004年にMitchell Glengyle蒸留所は再始動し2007年にKilkerranをブランドとして発表しました。
(キャンベルタウンに新しく蒸留所が設立したのは、実に125年振りであり、現在稼働している蒸留所としては3番目。)
のちに、Springbank蒸留所はMitchell Glengyle蒸留所を手放しました。
これは、Glengyle蒸留所を独り立ちさせる意もあり、現在では姉妹蒸留所として別々の運営を行っているそうです。
他の多くのウイスキーは製造している蒸留所名が商品の名前になっているものが多いのですが、こちらは蒸留所名を商品の名前にしていない数少ない蒸留所のうちの一つです。
蒸留所名がついていない理由は、グレンガイルという名前が他の会社(Glen Scotia/グレンスコシア蒸留所…同じキャンベルタウンにあるウイスキーの蒸留所)で既に商標登録がされており、その権利を買い取ることが出来なかった為、地元の聖人である「セント・ケアラン」の教会を意味する「KILKERRAN/キルケラン」という名前がつけられたそうです。
最初のリリースからKilkerranには「Work in progress」と記してあり、意味は「進行中の作品」として毎年続いていました
そしてやっと2016年に満を持して発売されたKilkerran 12年。
シェリー樽30%、バーボン樽70%を使用しており非常に香り高く、飲みごたえのあるシングルモルトです。
紆余曲折の人生を歩み、周囲の手助けにより復活したグレンガイル蒸留所が造るウイスキー
是非、ご賞味ください。
立川駅南口徒歩五分 BAR DARK KNIGHT
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(ラーメン田田の西隣のビルの三階)
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