本日ご紹介するのは「マウントゲイ ブラックバレル」です。

白い砂浜とサンゴ礁に囲まれたカリブ海。その一番東端にある島国バルバドス。ラム酒世界最古の蒸留所と言われている(諸説あります)マウント・ゲイ蒸留所があります。

今回紹介する「マウントゲイ ブラックラベル」はポットスチルで2回蒸留を経た原酒と、連続式蒸留器から産まれた原酒をそれぞれバーボンで使用したオーク樽で熟成させ、職人が巧みにブレンドしたスモールバッチ・ラムです。

フィニッシングと呼ばれる熟成の最終工程では、チャー(しっかりと樽の内側を焦がした)をしたアメリカンホワイトオークの樽で、ブレンドした原酒を再度熟成させます。それによってスパイシーで力強いアロマが造り出されるそうです。

個人的なマウントゲイの原酒の特長としては、バナナのようなフルーティな香りと味わいが印象的です。

続いてラムとは何だろうと、疑問に感じていらっしゃる方のために、ラムの誕生と歴史などもご紹介させていただきます。

コロンブスによって西インド諸島が発見され、その後サトウキビが植えられました。さらに100年後の17世紀の始めごろ西インド諸島のバルバドス島にイギリス人がやってきてサトウキビの製糖工程に生じるモラセス(廃糖蜜)を利用してラム(蒸留酒)を作りました。

簡単に言えば、ラムとはサトウキビから産まれる蒸留酒です。

ラムという蒸留酒は英国海軍と深い関わりがあります。

非公式として英国海軍で始めて水兵にラムが支給されたのは1655年のことだといわれています。

1654年の末にペン英国海軍中将の艦隊が植民地拡大のため、バルバドスの海軍基地に到着し、すぐさまスペインと戦いジャマイカ島を征服しました。

ペン中将は、その時船上で海兵たちにラムの支給を行ったとされています。

当時航海中の飲料は樽に入れた水とビールだけでした。まだ冷蔵庫などの冷却機器などは無く、生鮮食品や飲料は日保ちしないため、限定されたものでした。

英国海軍はビールの代わりにワインやブランデーの支給も許してましたが、西インド諸島ではどちらも入手することはできませんでした。

そこでビールやワインの代わりにラム酒を西インド諸島で生産し、西インド諸島の英国海軍拠点基地ではラムの配給が慣例化するようになりました。

1731年には英国海軍省はラムの1日の配給量(tot/一杯、少量)を1人1/2パイント(1パイント568㎖)と決定し、1日2回に分けての配給と公式に承認しています。

1日1/2パイントものラム酒は量が多く、暴飲を招きました。

そんな海兵に艦隊勤務を続けさせなくてはならない艦長は困ります。

そこで、1740年バーノン提督はラムを配給前に水で薄めることを強制。

さらにライムや砂糖を加えることを奨励します。

当初は「水で薄めるなんて…」と乗員たちから不満の声も上がったそうです。

乗員たちは、バーノン提督がいつも着古したグロッグラム・クローク(ウールとシルクの交織の目の粗い生地)という防水性の外套を羽織っていたことにかけて、ラムの水割り(混ぜ物)を”グロッグ”と呼ぶようになりました。

ケチ臭い飲み物という意味です。

やがてアルコール分の弱い酒でも飲み過ぎればフラフラになることから”グロッギー”(groggy)という言葉が生まれました。

今でも使われる言葉ですね。

英国海軍のラム配給は非公式には300年以上、公式には200年以上続きます。

そして最後のラム配給日は1970年7月31日

“ブラック・トット・デイ”と呼ばれる日です。

海軍関係者や西インド諸島をはじめとした海軍にラムを供給していた蒸留業者たちはこの日、悲しみのあまり喪章をつけたと言われています。

現在「グロッグ」というカクテルは、ダークラム、レモンジュース、角砂糖、シナモンスティック、熱湯という材料で作られ英国を主に親しまれています。

バーダークナイトではこのグロッグもご提供しております。

またよく似たレシピのホット・バタード・ラムもおススメです。

どちらもバルバドス産「マウントゲイ・ブラックバレル」御作り致します

ぜひご賞味ください(^^)